反・ブーツストラップ理論(Bootstrap Theory)
pull oneself up by one’s bootstrapsとは、 自身のブーツストラップ(編み上げ靴のつまみ皮)を使って 自らを自力で持ち上げるという意味である。 テンセグリティは、そのモデルが発見された後も どんな足場(根拠)もない場所から 靴のブーツストラップ(編み上げ靴のつまみ皮)を自分で引っ張ってあげて 空中浮遊しようとする反物理的構造と見なされた。...
View Article主体的に学ぶ
構造は、根本的に自由だという認識や 構造は、社会的な条件によって決定されているという 分析からだけでは、構造を知るには不十分である。 シナジェティクスを学ぶと、 構造はつねに発見されていることがわかる。 シナジェティクスを主体的に学ぶとは 主体的に構造を発見し、 これまでに存在していなかった 構造とパターンを明らかにすることである。
View Article極地へ向かう工兵隊(military engineer)
自然と出会うために 人間が道具を使用して短期間に居住可能な場を形成するという考えで アウトドア製品はデザインされてきたと思われてきた。 しかし、軍隊が来るべき資源戦争に備えて 予備的に行う極地的調査方法から 派生した道具類の洗練された段階に過ぎなかったのである。 アウトドア製品は、 それらをデザインする人々から 自然についての知とコスモグラフィー的認識が消失し、 予期せぬ死の危険を帯びた自然探検への...
View Article自律していくコロニー
流動する圧倒的な難民を受け入れない情況を先導する場合 その国家の民主主義はすでに消失しかけている。 自国の領土を買ったり売ったりしている間に、 その領域内にいるかぎり、 安全で平和に生きられることを保証するという国家は もはや存在しないのだ。 エネルギーと水と、食料 そしてシェルターを過不足なく自給し、 自律していくだけで 人類は短期間にコロニーを形成できるのだ。 ——-火星に行かなくとも。...
View Article有用性(utility)とメタフィジックス
シナジェティクス領域から デザインサイエンス領域に移行する過程で 理論的段階から実践的段階へと質的に転位するだけに終わらない。 実践的段階が理論的段階へと押し戻すほどの 工学的技法を超えた数学的な原理の発見に遭遇したならば。 異なる2つの段階を通過し、往復することで 異質な原理から成り立つビジョンへ移行できているかどうかが 生存するための<有用性(utility)>に到達できる...
View Article自然の構造
構成要素とは、 どのような要素を使って構造が組み立てられるかを 検証した結果である。 検証なき構成要素からは どんな構造も主体的な思考の対象から逃れてしまう。 主体的な思考から発見される自然の構造は つねに先験的である。
View Article先験的システム
権力システムに対抗する政治哲学論よりも エネルギーと食料、水とシェルターを無料化するテクノロジーのほうが それらを互いに断絶させ分裂させる権力システムと 反対称的な先験的システムなのである。 先験的システムは、つねに包括的である。 ーーーー例えば断面積ゼロの重力、つまり張力的存在。
View Article媒介者(vehicle)
企業にとってノウハウは、富の構成要素の一つである。 難民を受け入れる国家は、 確実な富の源は人口にあると考えている。 企業にも、国家にも、 人間は宇宙と大地とを繋ぐ本質的な媒介者 または伝達システム(vehicle)である という観点はどこにもない。 確実で無尽蔵な富という概念によって 人々は目的のない牢獄に繋ぎ止められている。
View Article短命な閃き
独創的なアイデアの源泉を 閃きに依存する人々の幻想は驚くほど平凡でありながら、 傲慢さを巧妙に隠蔽したオリジナリティに身を包む。 一瞬であろうと、徐々にであろうと オリジナルなアイデアが閃くと言うことはありえない。 それはどこかで見た誰かのアイデアにちがいない。 瞬間的に思い浮かぶ他者のアイデアを模倣する人々に 共通する幻想は短命だ。 風が吹かなかった場所は存在しないが 風は、異なった場所で...
View Article予測的デザインサイエンス
構造とパターンは、 相互的に直接作用しながら変容する織物である。 面、線、点の相互作用から 閉じた新たな構造のパターンが発見される。 しかし、純粋な構造のパターンの目録には ストラットやジョイントや皮膜のコストの情報は含まれない。 デザイン行為は、異なった原理間の調整のみならず、 それらすべての要素間の相互作用を調整する段階に存在する。 その認識は、予測的デザインサイエンスに属する。...
View Articleフラーレンとナノチューブ、そして細胞とシェルター
もし、テンセグリティが発見されていなかったとすれば、 フラーレンとナノチューブ、そして細胞とシェルターは、 それぞれが特殊な形態として存在していたに違いない。 さらに、自然とその概念をささえる思考が どのように形成されたのだろうか。 テンセグリティが発見されるまでの世界の科学哲学史に貢献する 圧縮材が不連続な構造を統合する連続する張力材にまで...
View Articleデフォルト化するシェルター
人々が求めた住居は、 自分と家族のために<獲得された空間>であり、 絶えず自分と家族と共にある空間ではなかった。 私がデザインするシェルターは、 宇宙と共に機能する環境制御装置である。 水と食料、そしてエネルギーを自律的に生産し制御するための シェルターを生産する人々にこそ、 最初にこの都市に依存したすべてをデフォルト化するシェルターが必要だ。 21世紀は、すでに難民の時代だ。
View Article先験的構造システムは存在する
仮設住宅は、地震に対応したのではなく 迅速な設営と撤去を前提にした居住空間である。 仮設住宅は基礎を前提にしている構造である。 基礎によって、大地に依存した従属性を排除することはできない。 しかし、真の構造には基礎という概念もなければ 耐震、免震、制振システムの概念もない。 全方向的な外力に対して 剛性と強度を維持するテンセグリティ構造には 耐震、免震、制振システムが先験的に内在して...
View Article未完の書『コスモグラフィー』
シナジェティクスモデルと縮小モデルは本質的に異なる。 縮小モデルは、形態認識の手段として定着してきたが シナジェティクス・モデリングによる未だ認識しえない関係を発見していく方法は まだあまり知られていない。 シナジェティクスモデルは、物質化を通して 人格的段階と同時に非人格的な領域までを捉えようとしている。 バックミンスター・フラーは、私がその方法を彼と合う前から...
View Article不可視の軍隊
個人を法律と規範の領土下で、監視しながら管理し、 学習が矯正システムである社会から逃亡することが ほとんど困難な成熟したテクノロジーを批判しないで、 北朝鮮の独裁的同族社会と可視的な軍事力を非難することは、 すでに矯正システムによって機能する無意識の条件的反射思考なのである。 その反射思考によって 軍事力で維持される<資本主義の動く構造>を外から見ることは より困難になっている。...
View Article安全装置(fail safe)再考
安全装置(fail safe)とは、 失敗から生じる損害や不利益、不注意から生まれる故障や事故を 防ぐための安全装置を意味するが、 軍事的には、核装備の爆撃機が何かの誤りで 攻撃目標を爆撃することを防ぐシステムである。 つまり、自分の間違いや失敗を認めた時に、 未然に相手の損失や破壊を完全に防ぐための現実的方法を システム自体に含ませることを意味している。 間違いを証明する客観的な証拠によって...
View Article直立と浮遊
二本足で直立することで原始人の脳が大きく重くなったように 圧縮材が相互に非接触になると同時に、 連続する張力材で統合されたテンセグリティは、 劇的に軽量化された。 さらに、原始人の直立歩行が 重力とのプリセッションの制御技術ならば、 テンセグリティは、大地から自律し、 ついに浮遊する動的構造となったのである。 (どちらも重力との相互作用である) 直径の無限性に伴う圧縮材の細分化によって。...
View Article潰しが利かないウラン
<潰しが利く>とは 本来は、金属リサイクルのことであった。 硬貨や携帯のレアメタル、そして自動車のように。 学んだことを武器に、職を見つけることが出来る意味に転じたが 実際の武器も、溶かして再利用される。 人間も工業製品も武器も、いまや<潰しが利く>動く資源である。 とりわけ、潰しが利く職業は、陳腐化への怖れから選択される。 宇宙の元素は、他の同じ元素と掛け替えられても けっして劣化しない。...
View Article思考を声にする
シナジェティクスは、 特殊な出来事(special case)の多様な存在を差異化し、 それらに固有の形式に変換して類別すると同時に 多様なモデル言語の出現を一般化によって単純化する。 高度に一般化されたシナジェティクス・モデルは、 しばしば、<思考を声にする>過程に出現する。 それは、自己の確実性から誘導される<閃き>からではなく、 言語形成に根ざす<他者性>の領域からである。
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